物語は13歳の少女カイリーが二人の男女に誘拐されるところから始まる。彼女の母親でシングルマザーのレイチェルが受けた電話は身代金の要求とともに、自分がされたように他人の子供を誘拐しろというものだった。そしてレイチェルが誘拐した子供の親が身代金を払えば、カイリーは解放される。カイリーを拐ったのもレイチェル同様に子供を誘拐された親であり、この悪夢のような仕組み<チェーン>は連綿と続いていくというのだ。果たしてレイチェルは再び我が子を自分の腕の中に抱くことができるのか。
親としての子への愛情を使って、同様の被害者を増やせ、犯罪者になれと命令する黒幕の卑劣さ、エゲツなさ。素人の人間が犯罪に手を染めることになるため物語はハプニングに次ぐハプニング。カイリーの安否の行方もさることながら、レイチェルの補佐役として活躍する元軍人のカイリーの伯父のピートも麻薬中毒で不安定とサスペンス要素には事欠かない。
物語の後半、犯罪組織<チェーン>の黒幕たちとカイリーの母親のレイチェルと伯父のピートたちとの銃撃戦が物語を盛り上げてくれる。
読み始めたらページをめくる手が止まらない第一級犯罪フィクションである。
東京ブックランド 1600円+税
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