16世紀中葉のイングランド。大聖堂を擁する河畔の商業都市キングズブリッジで貿易を営むウィラード家は、カトリックでありながらもプロテスタントに対しても寛容な家柄だった。一方、商売敵でもあるフィッツジェラルド家は頑ななカトリックで、両家の仲は決していいとは言えなかった。
ネッド・ウィラードとマージェリー・フィッツジェラルドは恋仲だったが、彼女の両親の反対にあって引き裂かれる。失意のネッドはサー・セシルを頼ってエリザベス・チューダーの下で仕事をするようになるが...。 舞台は16世紀。英仏宗教戦争のまっただなか。時代に翻弄されるふたりの女王と、市井の人々。
布教、秘密礼拝、暗躍するスパイ、密告、拷問、火炙り。王族の対立、大虐殺、報復の連鎖、戦争、大海戦、斬首刑。秘められた愛、非業の死、跋扈する悪、やがて待ち受ける宿命の対決。すべてが終わったあとに残される、未来への希望。新世界。 ありとあらゆる「物語の醍醐味」が、この長大な小説のなかでひしめきあっています。 長い。そうですね。確かに長い。それでも、費やされる労力と時間に見合うだけの、至高の読書体験をお約束します。
東京ブックランド 1600円+税
邦訳版 『火の柱上・中・下』 扶桑社ミステリー
bloggerにて2022年10月6日公開
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