高野秀行著『異国トーキョー漂流記』を読む

トーキョーに来た外国人との交流を描いた友情物語。

前衛舞踏に日本的神秘を見出したフランス娘シルヴィ、「日本のマイケルジャクソンになるんだ」と息巻いているザイール人のウィリー、著者の「彼女でなくなりつつある」彼女と著者にスペイン語のレッスンを教授してくれた陽気でおっちょこちょいのスペイン人のパロマ、著者より浅草のことに詳しいコンゴ人の小説家ドンガラさん、日系人ではないのにウエキと名乗って日本へ働きに来たペルー人のウエキ、「日本の中華料理は中国の料理ではない。日本料理の一種である」と言う民主主義や人権よりバイクを乗るのが好きな中国人の魯達夫、マクドナルドが好きなイラク人のアリー・イスマイル、日本のプロ野球が大好きな盲人のスーダン人、マフディと多彩な外国人たちが登場します。

彼らの目を通すと、東京が異化されトーキョーになるのです。それまで見えなかった東京の風景が彼らの目を通して新しく現れるのです。外国人との交流記として優れた一冊だと言えるでしょう。是非、皆様にも読んでいただきたいと思います。

最後に本書からの一部を抜粋しておきます。

「いつもそうなのだが、なぜか外国人と一緒にいると、目に映る風景も外国人のものになる。東京がトーキョーになる。ティッシュ配りの若者や電話会社の店頭で歌をうたってキャンペーンをしている女の子を指差し、ウエキが首をひねる。すると説明しながら私もやはり『妙なことをしてるな』と首をひねりたくなるのだ。」

集英社文庫   560円+税

KAZUMAの読書日記

冒険、スリラー、ジョギング、エッセーなどなど、気の向くまま、多ジャンルの読書を続けてきましたが、オススメできそうな本を備忘録風にご紹介いたします。

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