出口治明著 『人生を面白くする本物の教養』を読む

  戦後日本の「キャッチアップモデル、人口増加、高度成長」の三点セットがきわめてうまく機能したピラミッド型社会が崩壊した現在の日本で求められるものは本物の教養である。本物の教養とは著者によれば、リテラシー「鋭く情報を読み取る能力」すなわち批判する精神だと言っています。

さらに、著者は物事を考える時は「タテ」と「ヨコ」で考えればいいと言っています。「タテ」は時間軸、歴史軸、「ヨコ」は空間軸、世界軸です。「タテ」と「ヨコ」で考えることは、時間軸と空間軸という二つの視点を交えて、いわば二次元で考えることだと著者は述べています。

さらに、著者は物事を考える時は、「国語ではなく算数で」考えるという視点が重要だと述べています。例えば、「外国人が増えると犯罪が増える」という物言いがあります。「国語」定性的に考えれば、「あ、そうかも」と思ってしまうかもしれないが、「算数」定量的に考えれば、実際の犯罪の発生件数はじつは減少していることが分かります。「国語ではなく算数で」考えるということは、「数字・ファクト・ロジック」で考える、とも言い換えることができる。

著者は、社会問題や時事問題を読み解く時に重要な視点は、その時事問題が「本音のところで、どういう動機なのか」という見方をすることが肝要だと述べています。

「歴史は一つではない」「歴史は民族の数だけある」という見方もあるが、著者は「歴史は一つ」だと考えている。さまざまな資料や文献を総合的に分析して蓋然性を探り、それと併せて録音データに当たるもの(物証)を自然科学的アプローチで探すことができれば、「歴史は一つ」だということが明らかになる、と著者は述べています。

現在のグローバル社会では、著者は英語力は不可欠だと述べています。事実上、世界共通語(リンガ・フランカ)の英語をモノにすることで、世界も違って見えてくるのです。ただし、母語(マザータング)の日本語をおろそかにしてはいけません。なぜなら、人間の思考の基盤となるのは母語(マザータング)、日本語なのだから。

著者は、仕事は「どうでもいいもの」だと述べています。なぜなら、私たちが仕事に費やしている時間は、365日、8760時間に対して、残業を含めてもせいぜい2000時間程度、8760分の2000、二割ちょっとにしかならないからです。

著者は、人生の総時間のニ、三割を占める仕事(ワーク)ではなく、七、八割を占める生活(ライフ)を楽しめ、と述べているのです。

生命保険会社ライフネット代表取締役会長兼CEOの出口治明氏の哲学が表明された良書だと言えます。是非、皆さまにもオススメします。




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KAZUMAの読書日記

冒険、スリラー、ジョギング、エッセーなどなど、気の向くまま、多ジャンルの読書を続けてきましたが、オススメできそうな本を備忘録風にご紹介いたします。

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